インプラントブログの最近のブログ記事

 午前中は抜歯即時インプラントでした。

 神経の無い歯が骨の中で折れてしまい、炎症を起こしています。念のために先週から抗生物質を飲んでおいていただいたのですが、抜歯をすると大きな膿の袋が根の周囲に二つもありました。抜歯窩をきれいに清掃してインプラントが入るように少し形態修正して、インプラントを植えました。炎症によって生じた周囲の大きなスペースはβTCP(骨補填剤)とコラーゲンのテープで埋めてすべて終了。手術室に入られてから1時間程で終わりでした。

 お知り合いの方から、『すごく痛い』とか『腫れる』とかおどかされたそうですが、「これで終わりですか?」とやや拍子抜けされた様子でした。

 つい、5年前に比べてもインプラントは随分と進化しています。昔、インプラントを植えた方には悪いイメージしか残っていない方もあるようですが、あまりおどかさないで頂けたら思いました。

ペリオテスト

user-pic
0

periotest.jpg インプラントが骨とどれぐらいしっかりと連結しているかを確認するためにペリオテストという器械を使っています。本体とケーブルで繋がったハンドピースの先端で軽く冠やインプラントの表面をタッピングして、タッピング時の接触時間から動揺度を測定し、デジタル表示してくれます。ボールを固い床に落とすとすぐに跳ね返ってきますが、柔らかいクッションの上だとボールの落下エネルギーがクッションに吸収されて反発力が弱くなるのと同じ原理です。

 本体の液晶画面に数字が表示されるだけではなく、音声で読み上げてくれる機能もあるのですが、ドイツ製の器械なので、英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語の5カ国語しか選べません。最初はずっと英語で使っていたのですが、最近スペイン語にしてみました。?2だと"menos dos"と読み上げてくれます。

 ラテン系のノリで私としては気に入っているのですが、スタッフには判りにくいとやや不評です。それとスペイン語を聞くとアメリカの大学にいた時、大学の近所のメキシコ料理店で 教えてもらった唯一のスペイン語、"Una cerveza por favor."(ビール1本お願いします)を思い出してタコスが食べたくなってしまうのも難点かもしれません。

 前歯の冠がぐらぐらするという患者さんがお見えになりました。以前から定期検診で冠の下に虫歯があり冠のやり直しが必要だと判っていたのですが、患者さんの体調がすぐれない事もあり、そのままになっていました。ひさしぶりにお見えになって、指でそっと動かしてみると嫌な予感がします。歯の根の中程で折れているような感じがします。レントゲンを撮ってみるとやはり残念ながら根の半分ほどのところで垂直に折れていました。

 比較的、冠に近い位置で折れている場合は冠の作り直しだけで治療を終えることができる場合もあります。ところが、根を支える骨より深い位置で折れていると複雑な処置が必要になってしまいます。

 骨の位置より下でも折れている位置が比較的浅ければ、部分的な矯正装置を使って折れている部分が骨の外に出るまで根を引っ張り出す事が出来る場合もあります。また、いちど抜歯をして180度回転させ方向を変えて再植が出来る場合もあります。いずれにせよ、深い位置で折れていると保存が不可能になります。

 折れた歯をそのまま放置していると折れたラインからばい菌が侵入して歯茎が腫れてきます。腫れると周囲の骨が溶けてしまい、その後の処置がだんだん難しくなってしまいます。本来は早く抜歯したほうが良い事もあるのですが、患者さんは「冠が取れただけ」と思われているので説明してもなかなか理解していただけない場合もあります。

 この患者さんの場合はブリッジとインプラントと取り外しの義歯という3つの治療法について説明したところ、インプラントを選択されました。とりあえず、麻酔をして冠と折れた根っこの部分を取り除き、両隣の歯に矯正用の接着剤を使って仮歯を固定しました。

 一週間後に時間が取れましたので、残りの歯の根を抜歯して同時にインプラントを植えました。幸い骨のダメージも少なかったので初期固定がしっかりと得られましたので、そのまま仮の土台を取り付けて仮歯を戻しました。翌日にチェックにおいでになりましたが、痛みはまったく無かったとおっしゃっていました。

 従来の方法では、先に抜歯を行ない上顎だと6ヶ月ほど治癒を待って、骨の吸収量が多い場合は骨を造成する処置を行ない、また半年ほど待ってようやくインプラントの埋入という場合もありました。数回の外科処置が必要なだけではなく、インプラントを植えるまでの間に長い待ち時間も必要です。さらには抜歯した部位に即座にインプラントを植えた場合、骨の再生能力が高まっているので、インプラントと骨の結合が起こりやすいという利点もあります。また、表面をハイドロキシアパタイトでコーティングしたインプラントを使うことにより、抜歯窩(歯を抜いた後の骨のくぼみ)に骨が再生されやすくなり、最終的な骨の吸収量も少なくなります。

  抜歯即時インプラントの場合は10-14週ほど待ってインプラントと骨がしっかりと結合するのを待って最終的な冠を作るだけです。抜歯即時インプラントは抜歯後に骨や周囲の組織が吸収する量をしっかりと把握してインプラントを植える位置、方向、深さなどを決めないといけないという難しさはありますが、きちんと計画して埋入すれば場合によっては1年近くも治療期間が短縮できる事もあります。

 冠が入っている歯がなんだかグラグラするという場合は、折れている事もありますので、なるべく早めに受診してください。周囲の骨が溶けてしまってからではインプラントが不可能だったり、さらに複雑な処置が必要になる場合もあります。

 今年の1月に上顎の抜歯即時埋入をした患者さんがいらっしゃいます。年明け早々に埋入をして、初期固定が良好でしたので、そのまま仮歯を連結して即時加重をしました。調子が良かったのか経過観察にもおいでになりませんでした。こちらから電話をしたり、お手紙を出したりしたのですが、そのままになってしまっていました。

 今日の昼頃、その患者さんからひさしぶりに電話がありました。「インプラントのところに口内炎が出来て気になるので診て下さい。」との事でした。午後からは比較的大きな処置の予約が入っていたのですが、とりあえず午後いちばんに来て頂くようにしました。

 先にインプラントの患者さんを診てから状況を把握して予約の患者さんを診るつもりだったのですが、こんな時に限ってインプラントの患者さんが中々お見えになりません。予約の時間を少し過ぎてお見えになった患者さんをすぐに診療室にお通ししてお口の中をみてビックリしました。直径8mmぐらいの膿瘍が歯肉に出来ています。しかもインプラントを植えた場所の真上です。

 デジタルカメラで写真を撮って、デジタルX線写真を撮影しました。最悪の場合、感染を起こしてインプラントをロストするかもしれないと思う程、大きな膿瘍でした。

 X線写真を見ると、インプラントの本体(フィクスチャー)には全く問題がないようでした。仮歯を支えるためにフィクスチャーに連結していたテンポラリージンジャイバルカフというパーツが緩んでいました。隙間に溜まった食べカスから感染を起こしているようです。通常は定期的にチェックをして緩みが無い事を確認し、緩みそうな場合は増締めをするのですが、半年以上も放置したために噛み合わせの力でわずかに緩んでいました。

 カフを一度外して中を洗浄し、しっかりと閉め戻してレーザーを照射し、抗生物質を投与したところ、1週間で綺麗に治りました。本来はすぐにでも最終的な冠を作る処置に入ったほうが良いのですが、患者さんのお仕事の都合でもう数ヶ月はこのまま経過観察になる予定になってしまいました。

 隣の歯との間隔が狭く、骨の厚みもなかったので、許容される誤差が1mm以下というシビアな埋入だったので、このインプラントだけはロストしたくないと思っていたので、ちょっとほっとしました。

 埋入後も補綴後も必ず定期検診にはおいでになってくださいね。

 「即時加重」とはインプラントを植えた当日に、仮歯を入れ噛む力を加える方法です。以前はインプラントを植えたら3-6ヶ月は絶対安静状態で力を加えるなどとんでもないと思われていました。その後の研究や技術の進歩で、条件が整えば即時加重をしても大丈夫だという事が判ってきました。

 今回の処置では虫歯がひどくなって割れてしまった歯を抜いてインプラントと置き換えました。幸い、炎症が進む前にでしたので、歯を支える骨が比較的多く残っていました。従来の方法だと抜歯をして3ヶ月待って、インプラントを埋入し、さらに4-6ヶ月待ってようやく噛める状態になります。

 もし、骨の吸収が多ければ、骨を増やす処置をしてさらに6-12ヶ月待たないといけませんでした。ずいぶん時間がかかりますね。

 歯槽骨や歯肉に損傷を与えないように通常の抜歯よりやや時間がかかりますが、15分ほどで抜けました。汚染した部分をきれいにしてインプラントの位置決めをして埋入をしました。埋入自体は30分ほどです。インプラントや歯の動揺度を調べるペリオテストという機械でチェックをすると動揺度は[0]。埋入時のトルク値も40N・cmを越えていましたので、充分に即時加重が可能な値です。仮の歯を取り付けるための土台をインプラントと連結しました。

 インプラントと抜歯窩の間にはやや隙間が残りますので、骨を誘導してくれるハイドロキシアパタイト製剤を入れ、仮歯を取り付けました。

 「なんでもバリバリ噛める」訳ではありませんが、痛みや腫れもなく、目立つ部分だったので抜いた後の事を心配されていた患者さんには非常に喜んで頂きました。
 
 同じ週に埋入した別の患者さんも抜歯即時インプラントでしたが、骨の条件がやや悪く、即時加重はできませんでした。また、奥歯を一本だけインプラントと置き換える処置でしたので、あまり噛む事の影響がないためペリオテストの値を見ながら1-2ヶ月で荷重を加える方法を選択しました。

 できるだけ患者さんの肉体的負担を減らす為に新しい技術や手技を使えば、ひどく腫れたり痛んだり治療の終了まで長期間かかる治療は過去のものになりそうです。

 前歯で食べ物を噛んでいたらガリッと音がして歯がぐらぐらして来たという患者さんが駆け込んでこられたのは去年の終わりの事でした。神経が無い歯で冠を被せてありました。根が折れてなければ良いのだけどと思いながらレントゲンを撮影したのですが、残念ながら折れてしまっていました。
 
 神経を取った歯には根の中に土台を差し込んで上に冠を被せるのですが、丈夫な金属の土台をしっかりと入れてしまうと無理な力がかかった時に歯の根っこが折れてしまう場合があります。強度と弾力性を兼ね備えるグラスファイバーロッドで補強した土台を使う方法もありますが、残念ながら保険の適応になりません。

 最近は保険の範囲内で作る場合でも私はできるだけ樹脂と柔らかい金属の組み合わせで土台を作るようにしています。強い力がかかると土台ごと脱離しますが、根っこは守られます。壊れるなら置き換えの可能な人工物が壊れて欲しいと思います。

 この患者さんの場合は根っこが垂直に折れていましたので、抜歯するしかない状態でした。

 抜歯した場合、選択肢は4つです。

1. 両隣の歯を削って冠を被せてブリッジにする
2. 両隣の歯にバネを掛けて取り外しの入れ歯にする
3. インプラント
4. 抜けたまま放置

 患者さんとお話した結果、抜歯して同日にインプラントを植える事になりました。根っこが折れていましたのであまり時間的な猶予が無く、急遽、その翌週にインプラントの埋入をしました。

 やや炎症があったので、念のために2ヶ月半待って仮の土台を立ち上げ、トータル3ヶ月と少しで処置を終了しました。術後の消毒やチェックを別にするとインプラントの部分の処置は6回で終了しました。

 従来の方法では抜歯して3-6ヶ月待っていました。その間に骨が吸収してしまった場合には骨を作る手術をして
また6ヶ月程待ちます。ようやくインプラントを植えてもまた6ヶ月待っていました。外科処置だけでも3回以上は必要でした。

lateral_2.jpg

 上顎の6本の前歯が写っていますが、向かって左側の二本は冠です。今回は患者さんのご希望で作り直しはしませんでした。中央の2本の歯と向かって左側の端の歯(糸切り歯)は天然歯です。インプラントはDentalの文字の"tal"の下あたりの歯です。冠が入っている向かって左側の二本よりもかえって自然な感じがしませんか?

2nd Assistant Debut

user-pic
0

 今日のインプラントオペでは卒後2年目の衛生士が初めてセカンドアシスタントをしました。術者(私です)とファーストアシスタントは術衣を着て滅菌した手袋をしていますので、器具・器材の取り出しと滅菌領域への受け渡しはセカンドアシスタントの仕事です。

手術器具.jpg
 その他にも当院では、術前の器具の準備や滅菌もセカンドアシスタントが担当します。埋入自体は単純なケースですので、準備するものも多くは無いのですが、なにしろ初めてなのでずいぶん緊張していました。普通は使用する器具の確認は前日に私がちょっと確認するぐらいなのですが、確認に来たのが早々と先週でした。「間にもう2つぐらい他の患者さんのオペが入っているのに、ここで準備しても器具類は先に使われてしまうよ。」と言ったのですが、「とりあえず確認して下さい」との事で確認しました。術式のマニュアルをコピーして読んだり、他の患者さんのインプラントのオペの時にアシスタントワークを見学したり、ずいぶんと気合いが入っています。
 ファーストアシスタントの衛生士はベテランなので、聞けばなんでも教えてくれる筈なのですが、準備はまず自分で考えて私に確認するように言ってありましたので、ファーストアシスタントには簡単になんでも教えないように言ってあります。厳しいようですが、こうしないと自分で考えて行動する力がつきません。

 いよいよ当日、患者さんを別の部屋にお通しして、麻酔をします。麻酔が効くまでの間に、私とファーストアシスタントの衛生士は最終的な器具のチェックと器材の点検をします。その間にセカンドアシスタントが患者さんのお口の中をPMTCの器具を使ってきれいに清掃・消毒します。私は手術のための念入りな手洗いをして、術衣を着て、滅菌の手袋をして、さあ患者さんをオペ室へと思ったら、、まだ口腔内の清掃をしていました。

 ちょっと口腔内清掃、張り切りすぎかなと思いましたが、念入りに口腔内清掃をやっても悪い事は何も無いので待ってました。埋入に入るとあとは何も問題はありませんでしたので、口腔内清掃の時間と同じぐらいで埋入が終わりました。結局、予定より早く終わったので、院長室でお茶を飲みながらこのエントリを書いています。

 ずいぶんと緊張をしていたようですが、無事に役割を終えてほっとしました。セカンドアシスタントでの経験を重ねて、ファーストアシスタントをする日もそう遠くは無いと思います。ただ、複雑な術式も沢山あるので、もっともっと目的意識を持って勉強する必要があります。

 随分昔ですが、先輩の先生に見てもらいながら最初のインプラントを植えた時の事をちょっと思い出しました。あの時は本当に緊張していたのを未だに覚えています。

このアーカイブについて

このページには、過去に書かれたブログ記事のうちインプラントブログカテゴリに属しているものが含まれています。

前のカテゴリはインプラントの費用です。

次のカテゴリは応用編です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。