2006年5月アーカイブ

 下顎の第二大臼歯のインプラントを行いました。

 昨年、虫歯がひどくなって他院で下顎の第二大臼歯を抜歯され、義歯を装着されていました。義歯は外れやすく、違和感も強いのでなんとかしたいと言う事で来院された患者さんです。

 今の義歯を調整して使い続ける、新しい義歯を作る、前の2本の歯を削って延長ブリッジにする等の選択肢についてもご説明した上で、最終的に患者さんのご希望でインプラントを植立する事にしました。

 骨の幅もあり、特に植立自体は難しくはないのですが、女性の患者さんでお口が開きにくく、手前の第一大臼歯に阻まれて視界の確保が難しい状態でした。埋入予定位置は手前の第一大臼歯から6.2mm奥だったのですが、実際に植えた後に計測してみたら6.4mmでした。まあ、0.2mmは無視できる誤差の範囲だと思います。

 患者さんがお休みになる時間も含めて2時間程の予約をお取りしていたのですが、1時間ちょっとで埋入まで終わって、患者さんも別になんともないという事で早めにお帰りになりました。時間が空いたので院長室で、この間買ったYo-Yo MaのSimply Baroque IIを聞きながらアイスティーを飲んでました。術衣を着ているとかなり汗をかくので術後のお茶は格別です。

 タバコを吸う先生に言わせると、「術後の一服はウマい」らしいですが、私は喫煙者ではありませんので、残念ながら?アイスティーです。

 その後、午前中にインプラント後に矯正をしている患者さんの装置の調整をして、午後からはインプラントの上部構造(冠)の型取りをしました。これも予定より早く終わったので患者さんからいただいたヨーグルトデザートをオヤツに頂きました。

 この辺までは優雅な一日だったのですが、この後、矯正装置の装着や調整の患者さんが立て続けに5人ほど予約に入っていて、途中にスプリントの調整や小児の虫歯の治療もあったので、私にしては結構忙しく働いた日だと思います。

 今日のインプラント埋入の患者さんは、上顎大臼歯2本の抜歯即時インプラントでした。ただ、分割抜去といって他院で内側の大きな根(口蓋根)を既に抜かれていたので、本来は3本あるところが、残った根は2本ずつしかありませんでした。

 抜歯即時インプラントですので、ペリオトームという薄い金属の器具で骨を傷つけないように慎重に歯を抜きます。炎症がひどいためか、癒着をしていて抜くのに少し時間がかかりました。歯を抜いてみてびっくり、本来なら口蓋根を抜いて骨が再生しているべき部分に骨がありません。骨の代わりにぶよぶよした炎症性の組織が増殖していました。いわゆる、「肉芽」です。肉芽は血管が多いので歯を抜くと出血が結構あります。

 おそらく、口蓋根を分割抜去した先生は出血におどろいてそのまま縫合して閉じてしまったのでは?と思いました。肉芽組織を残しておくと、後からだらだらと出血をしたり、今回のように数年経っても骨が治癒できない場合もあります。

 「えーい、まったく、このー」とおそらく顔を見た事も無い先生にぶつぶつ文句を言いながらも時間をかけて完全に肉芽を除去しました。肉芽をきれいに除去してしまうとようやく出血も止まります。次に上顎洞の1mm手前までインプラント窩を形成し、リッジエクスパンジョンスクリューという器具で上顎洞の底部の挙上を行いました。

 インプラント窩を形成しやっとインプラントを埋入しましたが、肉芽のあったところには大きな骨の欠損が残っています。そこに骨を誘導するβ-TCPを填入してコラーゲンの膜で塞いで縫合してやっと終わりです。

 最初の肉芽の除去にけっこう時間がかかったので予定の時間いっぱいを使ってしまいました。ただ、大きく切開や剥離をしなかったので術中も術後も患者さんは痛みや腫れは無かったのが何よりでした。

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