2005年12月アーカイブ

印象と模型作製

 噛み合わせの状態を確認するために歯形を採って(印象採得)歯列模型をつくります。

診断用ワックスアップ

 噛み合わせを考慮しながら抜けてしまった歯を再生すべき場所にワックスで歯を補い、インプラントを植えた後の噛み合わせの状態を確認します。場合によっては矯正治療が必要と判断される場合もあります。

サージカルステントの作成

 インプラントを植立する位置をCTの画像上で詳細に決定するために、お口の中に入る樹脂でできたステントという器具を作成します。ステントのインプラントを植える相当部にはCTに写るマーカーを埋め込んであります。

CT撮影

CT.jpg  提携病院にてCTを撮影していただきます。CT撮影時にはあらかじめお渡しするステントを噛んおいていただきます。ステントの中にはインプラントを植えるべき位置を示すマーカーが埋め込んであり、データを3次元的に再構成したあと、埋入位置の決定に用います。撮影自体は数十秒以内に終わりますが、位置決め等の時間がありますので、30分程をみておいてください。当院の提携病院では最新の高速で解像度の高いCTを使用していますので、放射線量も必要最小限度に抑えることができます。


CT撮影データ変換


mo.gif
 スキャンされたデータはDICOMという医療画像の共通データ形式で光磁気ディスク(MO)に保存されます。当院では撮影後のMOをお持ちいただいて、DICOMデータを画像処理を行う会社に送ります。

シムプラントを用いての植立位置の決定(イメージ図)

before3d.jpg  断面像、パノラマ像、アキシャル像および3D像を用いてインプラントの植立位置を決定します。ソフトウェアにはあらかじめ各メーカーのインプラントの3次元データが保存されていますので、3次元的に植立位置を確認する上でのイメージがつかみやすくなります。  左の例ではオレンジ色で強調された下歯槽神経とインプラントの位置関係がよく分かります。パノラマ像ではインプラントの先が下歯槽神経のオトガイ開口部にかなり近く見えますが、計画した方向にインプラントを植立すれば、充分な安全域が確保され、まったく問題がない事が分かります。


植立したインプラントの評価


after3d.jpg
 場合によってはインプラントの埋入後にもう一度、CTを撮影して埋入位置や方向、深度などの評価を行う事ができます。左の図ではほぼ予定されていた位置に埋入がなされている事がわかります。

(歯科医師の方へ)
 頬側寄りに埋入されているように見えますが、第二小臼歯が先天欠如で10年以上前に脱落していました。Matured Siteとの判断から上顎の咬合力を垂直に受けられるこの位置を選んで埋入しています。もしも、抜歯即時や抜歯後あまり間もないケースではさらに舌側寄りに埋入しないと、埋入後に頬側の骨吸収を起こして、トラブルの原因となる可能性があると思われます。

1本から数本までの歯が抜けてしまっても、その両隣にしっかりした歯が残っている場合にはいろいろな治療法が考えられます。

56.jpg全部の歯がそろった状態です。

56mt.jpg
真ん中の2本が抜けてしまいました。
このまま放置しておくと上の歯が下がる、奥の歯が前方へ倒れこむ、反対側の奥歯に大きな負担がかかる等の問題が生じる危険性があります。

 このような問題を解決するためにはいくつかの方法が考えられます。

1. ブリッジ(両側の歯を削って冠を被せて橋渡しをする)
2. 部分床義歯(部分入れ歯:両側の歯にバネをかけて取り外しの入れ歯を作る)
3. インプラント(歯が抜けた場所に人工の歯の根を植える)
4. あきらめてそのまま放置(解決にはなりませんけれど、、、)

 適切なインプラント(人工歯根)治療には、正確な顎の骨の形状や状態を詳しく調べることが必要になります。従来は単純な断層撮影(パノラマレントゲン)や単純撮影を元に骨の形状や硬さを類推していましたが、断面の形態までは判断が出来ず、手術中に予期しないトラブルを生じる事もありました。

 現在ではCTを撮影し、顎の骨の3次元的な形態や骨の質を把握し、コンピューター上で画像診断を行う事ができるようになりました。この方法により、さらに安全で、確実な治療を受けることが出来ます。

CTとはどういうものでしょうか?

CT検査コンピュータ断層撮影(computed tomography)の略です。最近では多くの病院に導入されていますので、皆さんもCTやMRIといった言葉を聞かれる事も多いと思います。従来の単純撮影との違いは体を透過したX線量をセンサーで感知し、コンピュータを使って断面の状態を観察する事ができる事です。また、歯科インプラントの治療のためのデータ処理を行うプログラム Simplantを用いる事により、任意の面で輪切りの状態(断層画像)で観察する事ができます。また、CTを用いれば0.1mm単位で実際の長さを計測する事ができますので、断層画像からは体の各臓器の形態、大きさ、位置、詳細な骨の密度などを確認することが出来ます。

何のために診断を行うのでしょうか?

 通常、歯科医院で撮影を行う単純X線撮影は、一方向にX線を透過させフィルムやデジタルCCDセンサーに結像させたただけの簡単なものです。X線の発生装置とフィルムの間のすべての組織が像を形成していますので、読影を行うにはかなりの熟練が必要であり、実際には存在しない陰(アーチファクト)が生じる場合もあります。ただし、このような単純X線撮影は、歯周組織の状態や虫歯の程度を判断するには充分な精度を持っています。
 しかしながら、インプラントの治療においては、あごの骨の高さを判断する事はできますが、厚さや形を調べる事はできません。また、CT撮影画像からは、あごの骨の形や硬さだけでなく、上顎洞炎や下歯槽神経の走行なども判断する事ができます。CTを撮影するには、当院と提携している近くの病院と時間を調整し予約をおとりして撮影に行っていただきます。CTの撮影時間自体は最近の高速ヘリカルCTですとわずか数十秒の撮影時間で頭部全体の断層撮影が終了しますし、従来のCTに比べると被爆線量もかなり軽減されています。カルテの作成や撮影の準備がありますので全体では30分から1時間くらいととお考えください。また、交通事故等による頭部外傷で生死に拘る患者さんの撮影が割り込む場合はありますので、ご了承ください。

撮影したデータはどのようにして分析するのでしょうか

 撮影したデータは医療画像の共通フォーマット(DICOM)形式で光磁気ディスク(MO)に記録されます。記録済みのMOをお持ちいただく事により、外部の専門会社にデータの再構成処理を委託し、そのデータを元に治療計画を立案します。

撮影後にはどのような説明がありますか?
データ処理の終了後、コンピュータを用いて画面をお見せしながら具体的な治療方法やそのためにかかる費用を説明いたします。費用につきましてはすべての費用の明細を印刷した見積書を差し上げております。


シムプラントの3D画像の一部です。顎の骨の状態が3次元的に表示されています。この他、任意の場所で断面を観察したり、骨の硬さを計測したり、欠損部を埋めるのに必要な移植骨の体積を計算したりとインプラントのプランニングに必要な様々な機能を備えています。

コンサルテーション

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 インプラントが必要と思われるポジジョン、本数、方法、費用などについての大まかな説明をします。また、ブリッジ、義歯など他の方法による治療についても検討し、説明を行います。まだ、この段階では費用は発生しません。

検査準備

010_37.jpg  歯列の型を採って模型を作成し、上下のかみ合わせや欠損部の大きさを確認します。模型上で欠損部にワックスを用いて歯を並べ、形態や機能の面で問題がないかどうかの検討を行います。その結果をふまえて、インプラントを植えるのに望ましい位置や本数を決定します。この段階で検査および植立のガイドに用いるサージカルステントを作成します。

検査

010_15.jpgサージカルステントを口腔内に装着した状態でレントゲン写真やCTを撮り上顎洞や下歯槽管の解剖学的な位置関係を把握します。CTを撮影した場合はCTの分析ソフトを用いて3次元的な位置関係を再構築し、画面上でインプラントの植立位置を決定します。残っている骨の高さや幅の状態によっては GBR(骨誘導 Guided Bone Regeneration)やソケットリフト、サイナスリフト等の術式の併用を検討します。このような検査によって植えるべきインプラントの種類や長さ、植立場所および術式(1回法または2回法)などが決定されます。

説明

010_21.jpg 検査の結果について、実際のデジタルレントゲン写真やCTをお見せしながら説明を行います。また、費用の詳細についても説明をし、印刷された見積もりをお渡しして検討をしていただきます。

手術

010_04.jpg手術は専用の隔離された部屋で完全に消毒された状態で行います。消毒されていない部分に消毒された器具が触れる事がないように滅菌した被布で被って準備をします。十分に麻酔が効いた状態で、あらかじめ予定した位置にサージカルステントを用いて正確にインプラントを埋入します。術前のお口の清掃・消毒や術後のレントゲン検査の時間を除くと数本のインプラントを植えるのに必要な時間は30分ほどです。念のため、少し様子を見てからお帰りいただきます。GBR等を併用した場合を除いてはひどい腫れや痛みはありません。

経過観察

植立部位への2次的な感染を防ぐために翌日には術後の消毒を行います。縫合した糸は一週間ほどで抜糸し、8週間から24週間ほどインプラントと骨がしっかり結合する(オッセオインテグレーション)のを待ちます。この期間は手術時の骨の状態や術式、植立場所、用いたインプラントの種類によって決定されます。
また、最近のインプラントの術式では骨の量や質が充分にあり条件が良い場合は即座に仮歯をつけて手術の日から噛める状態にする事ができる場合もあります。

二次手術(2回法の場合)

implant.jpg骨の状態や術式によって2回法を選択した場合はインプラントが骨にしっかり結合するのを待って、歯ぐきを通り抜ける部分の部品を後から取り付けます。必要最小限度の切開のみを行いますので、30分ほどの処置時間で終了します。歯茎の状態が良い場合はメスを使わずに歯科用のレーザーだけで処置を行う場合もあります。

プロビジョナルレストレーション

最終的な冠(上部構造)を作る前に樹脂で作った仮歯を作って実際に食事や会話の時に違和感がないかを確かめます。必要があれば調整を行いながら最終的な形態を作り上げて行きます。


最終補綴

implant1.jpg プロビジョナルレストレーションの最終形態を元に上部構造(冠)を作ります。再度、型採りをしてお口の中で調整や確認をした上で完成させます。


メンテナンス

025_41.jpgかみ合わせに不具合がないか、清掃の状態は問題がないか、炎症などがおきていないかを確認するため、3ヶ月から6ヶ月に一回来院していただいてチェックを行います。また、普段の歯磨きでは清掃が難しい場所を清掃したり、歯磨きの方法をチェックしたりします。また、年に一度はデジタルレントゲンでインプラント周囲の骨の状態を確認します。

インプラント

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利点

両隣の歯を削らないでも良い

両隣の歯に負担をかけないだけでなく両隣の歯の負担を軽減する

固定式なので外さなくても良い

天然の歯と同じように強い力で噛める

見た目が自然

欠点

保険適応範囲外なので比較的多く費用がかかる

埋め込み手術が必要(外来日帰り手術)

歯ぐきの骨が少ないと難しい場合がある

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歯ぐきの下の骨にインプラントのフィクスチャーを埋め込みます。直径は3-6mm程です。0-6ヶ月の免荷治癒期間を待って型取りをします。最初から歯ぐきを通り抜ける部品を取り付ける一回法と、治癒期間後に行う2回法があります。


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まずは仮歯で噛み合わせの状態を確認します。問題がなければ型採りをして最終的な冠(上部構造)を作成します。

部分入れ歯

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利点

両隣の歯をほとんど削らなくても良い

プラスチックの義歯は保険で作れるので安価

残っている歯が少なくても作れる

欠点

会話や食事の時に外れてしまう事がある

あまり強い力では噛めない

バネがかかる歯に大きな負担がかかる

金属のばねが外から見える

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歯と歯茎の型をとって義歯を作ります。義歯は隣の歯にかける金属のバネと人工の歯と土台の部分からできています。


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義歯はバネを使って両隣の歯に固定されます。食事の後は義歯を外して歯磨きが必要です。お手入れが悪いと嫌なニオイがしたり、べたついたりする事があります。

ブリッジは抜けた歯の両側の歯を削って抜けた部分を橋渡しして冠を被せる方法です。橋渡しなのでブリッジと呼ばれています。

利点

固定式で外れないため義歯よりは違和感が少ない
臼歯部の金属の冠を用いたブリッジは保険で作る事ができる
前歯部では表面をプラスチックで覆ったブリッジは保険で作ることができる
保険のブリッジなら比較的安価
義歯に比べると良く噛める

欠点

両隣の歯を削らなくてはならないので、場合によっては無傷の歯を削らなくてはならない
両隣の歯に負担がかかるので、結果的にさらに多くの歯を失う事がある
耐久性が良く自然な外観のセラミック冠にすると保険の適応外となってしまう
連続して3本以上の欠損があるとブリッジでは対応できない

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抜けた歯の両側の歯を麻酔して金属の厚み分を削ります。すべての面が平行になっている必要がありますので、両隣の歯の傾きが違うと削る量が増えたり神経をとる場合もあります。


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両側の歯に冠をつくり間を金属で繋いでブリッジを装着します。両側の歯には2倍近くの力がかかりますので、定期的なチェックが必要です。この場合、将来的に奥の歯を失う事があるともうブリッジでは対応できません。

 なんと言っても両隣の歯を削るのが一番大きな欠点だと思います。ただし、抜けたのが1本ぐらいで、もともと両隣の歯に金属の冠が被せてあり、両隣の歯の状態が非常に良い場合には第一の選択肢となる場合もあります。ただし、交通事故などで前歯が一本だけ抜けてしまい、両隣の歯は無傷の場合、両隣の歯を冠を被せるようにぐるりと削ってしまい、ブリッジにするのは非常にもったいないと思います。たとえセラミックの冠を使っても無傷の歯の場合は削るのを躊躇してしまいます。

 このHPは更新の容易さと双方向性を求めてブログという形を取っています。 

早いもので、歯科医師になってすでに20年が経ちます。もしかして、長い間に歯科の用語に関しては私の「常識」と患者さんの「常識」が少しずつずれてはいないかと心配になる事もあります。患者さんにご説明をする際にも、ついうっかり「歯髄が炎症を起こしているみたいですが、咬合にも問題があるかもしれませんね。」といった、分かりにくい表現になってしまう事もあります。でも、感覚的には「歯の中の神経が腫れているみたいですが、噛み合わせの問題があるかもしれませんね。」というのとはちょっとニアンスが違ったりもします。

 日本語というのは優れた言語ですので、全く聞いた事が無い病名でも漢字で書いてあるとなんとなく理解できる事もあります。「しずいがえんしょうをおこしている」と耳で聞くと分かりませんが、「歯髄が炎症を起こしている」と漢字で書けばご理解いただける場合も多いかと思います。

 ところが、新しい技術であるインプラントは材料や術式がそのまま英語のカタカナ読みになっている場合が多いのです。例えば、
Implant = インプラント = 人工歯根 ぐらいは許容範囲ですが、
Abutment = アバットメント = 上部構造を装着するためにフィクスチャーに連結する支台
と、なるとカタカナでは理解できません。

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分かりにくい用語や疑問に思われる点はどうぞコメント機能にてご質問ください。できるだけ早くに分かりやすい形に書き直したいと思います。

 歯科用インプラントとは、歯の一部分に冠を被せたり、詰め物をするのではなく、歯が抜けてしまった場所に人工の歯の根を植えて歯を復元する治療法です。歯を失った部分の歯ぐきの骨にチタンでできた人工歯根(インプラントフィクスチャー)を植えます。インプラントを受け入れる歯ぐきの骨の状態が許せば、一本の歯から全部の歯までをインプラントを用いて機能回復する事ができます。

 植えたインプラントは通常3-6ヶ月で周囲の骨としっかり結合(オッセオインテグレーション)します。フィクスチャーの上にアバットメントと呼ばれる部分を連結し、その上に冠(上部構造)を接着します。

 耐久性も高く、違和感もなく、お食事をされたりお話をしたりという機能や見た目も自然の歯とほぼ同じです。

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