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2007年10月02日

●ヒールオゾンの効果

 9月末のこのブログのページビューが一気に数倍に増えていました。

 TBSの番組でヒールオゾンについて紹介されていたのが原因のようです。Googleでヒールオゾンを検索すると最初のほうに「ヒールオゾンに信頼出来る根拠は無い」という当ブログのエントリーが表示されるので、そちらからおいでになる方が多いようです。

 TVで虫歯を削らずに治療すると放送されると、皆さん、どんな虫歯でもヒールオゾンを使うと削らずに治療できるように思われるかもしれませんが、我々専門家の目で見ると、ずいぶんと理論的におかしく感じる部分もあります。同じ番組で紹介されていた他の外科医の先生達の紹介もヒールオゾンと同列に紹介されていると、なんだか疑いの目で見てしまいます。残念です。

 本当に削らずに虫歯が治療できるのでしょうか?

 特許庁のHPにヒールオゾンの資料があります。

オゾン浸透性が小さいため、う蝕部位2mm以内しか有効ではないため、それ以上のう蝕部位は歯表面を削取したのち、オゾン治療する必要がある。

と、書いてあります。すでにこの段階でヒールオゾンを使えば『どんな虫歯も削らないで虫歯治療』というのは間違っている事が判ります。少なくとも、2mm以上の虫歯では削らないとオゾンでは治療出来ないのです。もっとも、2mm以内の虫歯でも必ず治療できるという保証は無いようです。

 また、オゾンの自体の虫歯への効果について、この資料には下記のように記述されています。


う蝕の原因菌であるストレプトコッカス・ミュータンスや乳酸菌類へオゾンを作用させると、生菌数の減少が゙観察される。これは微生物の細胞膜を構成成分である不飽和脂肪酸がオゾンと反応して分解されるためと考えられている。ただし、完全に死滅せず、静菌作用に近いと言われている。

 
 「静菌作用」とは細菌の繁殖を抑制する作用です。また、「オゾンは反応性が高いが分解しやすいので組織への浸透性は小さい」事から、ヒールオゾンの作用は一時的な物と考えられます。

 結局、特許庁のHPにある資料から言えるのは

1. 効果があるのは表面から2mm以内の浅い虫歯だけ
2. 細菌を死滅させる殺菌効果ではなく、繁殖を抑制する静菌作用が主である
3. 組織への浸透性は少なく、分解しやすいので効果は一時的

だということが判ります。フッ化物を塗布するほうがよほど確実で持続的な効果が得られると思います。

 ですからヒールオゾンでどんな虫歯でも削らずに治せるという事は絶対にありません。

 もちろん、ごく初期の虫歯の場合は「再石灰化」といって、傷んだ部分にカルシウムが沈着して治る事もあります。静菌作用があれば脱灰(歯のカルシウムが溶け出すこと)を遅らせて、再石灰化を助けてくれるかもしれません。ただし、再石灰化がおこるのはごく表面に限られていますので、しみたり痛んだりする虫歯にはほとんど効果がなさそうです。
 
 なぜ、TVで「夢の治療法」のように繰り返し喧伝されるのか? 謎です。

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