2007年08月28日

●マイケル・ムーア監督の新作 『シッコ(sicko)』

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 マイケル・ムーア監督の3年ぶりの新作『シッコ』(病気の意味)ですが、医療関係者のメーリングリストでも随分話題になっています。石川県の喜多先生が保険医協会の会報に推薦文を書かれていました。ぜひ、引用して広めてくださいという事ですので、引用します。

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マイケルムーア監督作品「シッコ(SICKO)」をぜひ観よう


 9月末、マイケルムーアの映画「シッコ」が金沢でも公開される。シッコ(SICKO)とは、病気あるいは、精神異常者の意味である。そうすると、この映画は、アメリカの医療制度はは精神的に病んでいる。まさに狂気の医療制度と言うべき状況であるとムーアが訴えているとも解釈できる。

 映画は冒頭より、アメリカで起こっている恐るべき実例を暴露していく。

 仕事中に事故で中指と薬指を2本切断した男性が病院へ、彼は健康保険がない。医師は「指をくっつけるには、中指は720万円(6万ドル)、薬指は、144万円(1万2千ドル)かかりますがどうすると尋ねる、男性は、中指をあきらめる。今、男性は中指がない。
 交通事故で意識不明になった女性が救急車で病院に運ばれる。アメリカでは救急車の搬送も有料(高額)だ。彼女のは回復して、保険会社にその搬送料を請求すると、保険会社は、事前に承諾のない救
急車の搬送は認められないと支払を拒否する。<意識がないのにどうして連絡しろというのよ!>彼女は怒り心頭である。

 アメリカは、全国民を対象にした公的な医療保険がない。民間医療保険が中心である。この民間保険と高齢者と貧困者を対象にした公的保険(メディケア、メディエイド)があるが、国民の15%つまり
4700万人が無保険者である。
 民間保険はほとんどが営利追求の株式会社であり、利潤増大を最優先する。上の例のごとく保険事故が発生し給付の段になると様々な難癖を付けて支払を渋る。実際保険会社の雇われ医師で査定率の
高い場合にはその医師にボーナスが支払われると言う。またガンの治療の様に治療費が莫大になる場合は、様々理由を付けて支払を拒否したり、途中で打ちきられたりして、金の切れ目が命の切れ目と
バタバタ患者が死んでいく、これも日常的なことである。

 この映画では、この様なアメリカの医療制度の対比として、カナダ、フランス、イギリス、キューバの実状を紹介している。これらの国は公的医療保障が整備され治療費は原則無料なのである。
 この映画に対しアメリカ本国でも、大騒動である。現ブッシュ政権も民間保険業界も心穏やかであるはずがない。もちろん批判もある、この映画のパンフレットの中で、デーブ・スペクター氏はムーアの映画作りは、独善的で公平さに欠きドキュメンタリー映画としては評価しないと言っているが、この個性の強い映画の評価は観客
各々がやればよいことと思う。

 この映画の中で一番心に残ったのは、入院中の高齢の患者が最早支払い能力がないと病院が判断すると、この患者にタクシーチケットを一枚与え病衣のまま、タクシーで運んで、貧民街の授産所の玄
関先でポイとゴミを棄てるごとく降ろして去っていく場面である。よろよろと起きあがる患者。この場面では本当に目頭が熱くなった。

 これはアメリカで起こっていることであって、日本のことではない。冗談ではない。小泉行財政改革の一貫として、混合診療の解禁圧力、経済特区における株式会社病院の開設、保険外併用療養費制
度の導入、日米の保険会社による民間医療保険の売り込み等々、日本でもアメリカのように医療を営利の対象としたい業界の圧力は大変なものであり、また来年に控える高齢者医療制度の創設など公的
医療保険も患者負担が増大し国民の負担も耐え難い状況、つまり「医療のアメリカ化」が進みつつある。もちろん現政権でもその流れは変わらない。

 その意味でこの映画は、市場原理に基づく改革に熱心な現政権や、財界人にとっては、「国民に絶対観てほしくない映画」である。であるならば、我々は万難を排して、「ぜひ観るべき映画」であると言える。

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 たしかに、アメリカの医療制度はお金が無い人には地獄です。私が勤務していた病院はキリスト教系の大学の付属病院でしたので、寄付を元にお金がない人の治療も一部、受け付けていました。もちろん、急性期の症状が収まるとすぐに退院させざるを得ないので、「リピーター」も多いとの事でした。それでも、他の地域に比べるとホームレスが少ないので、まだ良い方だとの事でした。もっとも、ホームレスが少ないのは裕福な地域だからではなく、夏は40度Cを越え、冬はマイナス20度を切る過酷な気候のせいだと思います。
 
 アメリカに比べるとまだマシですが、日本の医療制度もいつ崩壊してもおかしくありません。なにしろ、OECD
加盟30カ国中、医師数は下から4番目です。(ちなみに最下位からトルコ、韓国、メキシコ、日本の順です。)この少ない人数で国民の健康状態は加盟国中で第一位。いかに日本の医療が医療関係者のオーバーワークに支えられているかが良く判ります。

 「明日は我が身」かもしれませんね。


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