先日、花輪和一氏の漫画、「刑務所の前1-3巻」を読んだら、その前に刊行されている刑務所の中を読みたくなりました。街へ出たついでに蔦屋書店で買ってきました。刑務所の中は講談社漫画文庫 でも刊行されていて定価が半額の上に書き下ろし21ページが追加されていてお得なんですが、診療室の待合室に置く事を考えて大判のほうを買いました。
解説にもありますが、よくありがちな獄中記のように抑圧された獄中生活を糾弾するような内容ではありません。まるで文化人類学者が世界のどこかの奥地に暮らす部族と生活を共にした詳細な学術記録のような淡々とした内容です。
最後のコマは陽光、青空、大地、風、泥遊びという文字に続いて、豚舎の中で昼寝する豚の上に書かれた「一生無縁」という文字で終わります。隷属状態によって失われる自由もありますが、基本的な生活に必要な収入を得る事をあれこれ思い悩む必要の無い生活は結構快適だと花輪氏は指摘しています。
読んでいてフランスの作家、ジャン・ポーランの「奴隷状態における幸福」という文章を思い出しました。奴隷解放宣言により急に自由の身にされた黒人奴隷たちが、いきなり放り出された自由な環境で何をやって良いのか分からず、前に自分達を雇っていた主人たちに「もう一度奴隷にして欲しい」と懇願するというエピソードがあります。受刑者をあまり何も考える必要の無い状態に置き、ただひたすら管理するだけでは刑罰の実効性が薄れてしまうのではと思います。
日本での懲役刑というのは、もしかして出所してからその後の死ぬまでのほうが辛いのでは?とふと思いました。
刑務所の中
花輪 和一 


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