2006年9月アーカイブ

 連休だというのに、土日は熊本エンドコースに参加してきました。研修会の時は雨が降って天気が悪いほうが、幾分気持ちが晴れる?のですが、くやしいぐらいの晴天でした。

 神経を取った歯の根の治療をする場合、最近は従来のステンレスの器具ではなく、ニッケルチタン合金、いわゆる「形状記憶合金」の器具を使った治療が出来るようになって来ました。当院では以前から導入していたのですが、年々新しいシステムや器具が発表されるので、つねに気をつけて勉強していないと時代遅れになってしまいます。

 今回は金沢から専門医の先生をお招きして、2日間たっぷりと実習を含めた研修会を行っていただきました。新しいシステムは従来の物に比べて、信頼性も向上し、操作性も良くなっていました。さっそく、臨床に取り入れる事ができます。

 もちろん、根管治療(根の治療)が簡単で確実になったとしても、神経を取らないで済むように、きちんと予防する事が一番、大切なのは言う迄もありません。

 患者さんにご自分のお口の中の写真をお見せして説明をする時に、「このままの状態だと次はここが悪くなる可能性が高いですよ。」と説明する事があります。

 「そんな事、なんで分かるんですか?」とお尋ねになる方も多いのですが、別に細木数子さんのように?占っている訳ではありません。

 「まだ」というか「もう」と言うべきか、歯学部を卒業してから20年経ちますが、一人の患者さんを20年診ているわけではありませんので、一人の患者さんの20年間の経過を経験している訳ではありません。

 でも、多くの患者さんを診せて頂いていると、今の状態だと次はここが悪くなりそうだとか、こちらが壊れると次はこうなるだろうという事が経験的に分かってくるのです。悪くなるのが分かっていれば早めに手を打てば他の部位に影響を及ぼしたり、噛めない期間が長くなったりせずにすみます。逆に、「まあ大丈夫だろう」と放置しておけば、一部分の治療で終わる筈が、大きな治療になってしまう事もあります。

 特に、奥歯が抜けてしまったのを放置していると、長い間に噛み合う歯や隣の歯の位置がずれてしまったり、周囲の歯に負担がかかってさらに抜けてしまったりする場合もあります。

 今日明日に困った状態になるわけではないので、放置されやすいのですが、必ずどこかに影響がでますので、抜けたり、グラグラしている歯の治療は早ければ早い程、良いと思います。

 近くの病院の救急外来から「口腔内の炎症の患者さんがいらっしゃるのですが、診てもらえますか?」と、連絡がありました。「どうぞ、こちらへまわしてください。」とお返事しました。

 患者さんは舌の下の舌下ヒダが腫れて舌が持ち上がっています。また、周囲を押さえると唾液腺の出口から膿が出てきます。舌下ヒダが腫れているので、舌が二枚あるようにも見えます。症状や発症の時期や所見から舌下腺の唾石症であろうと診断しました。

 胆のうに石ができると胆石、腎臓だと腎臓結石ですが、つばを作る唾液腺の中につばの中のカルシウム分が固まって石が出来ることがあります。この石がつばが出る管に詰まるのが唾石症です。詰まるとつばの出口が無くなって唾液腺が腫れたり痛んだりします。特に、食事の時に痛む事がありますが、これは食事を前にすると唾液が出て激しい痛みを感じ、食事が終わると治まるもので、唾石症に典型的な症状です。(唾疝痛と呼ばれています)唾石がつまると、そのうちに細菌が感染して唾液腺炎を併発して膿が流れ出します。

 舌下腺の唾石の摘出はそれほど難し事ではないのですが、炎症が強かったのでまずは抗生物質で炎症を抑える事にしました。患者さんは悪性腫瘍を心配されていましたが、原因が判って安心されたようでした。

 「先生、食事をしていたら歯が大きく欠けてしまいました。」と、予約をお取りになった患者さんがいらっしゃいました。「欠けた歯」をお持ちになって下さったので、拝見したのですがどうも歯ではないように見えます。お口の中を見せていただいても、どこも欠けた歯はありません。

 「何をお食べになっている時に歯が欠けたのですか?」とお尋ねしたら、「ぶどうです」との事。

 はい、予想どおりぶどうの種でした。患者さんは恐縮されてお帰りになりましたが歯じゃなくて良かったです。

CSTPC-1.jpg 半年、計10回の診断セミナーの最終回でした。「非常に複雑なケースを如何に考えるか」という、どちらかというとテクニックより思考力を鍛えるコースです。講師の先生から教えていただくだけではなく、受講生の先生方とディスカッションをしたり、お互いに質問をしたりもして非常に有意義なコースでした。

 このコースでお知り合いになれた先生方とは一生の知己としておつきあい願いたいと思っています。最後は、来年のケースプレゼンテーションの会での再会を誓って、コースを終了しました。

 明日からまた、モチベーションを高くもって診療しようという気持ちを新たにして博多から帰ってきました。

 診療室の改装を機会に顕微鏡をもう一台買いました。取り回しが楽なように天井からつり下げる方式にしたので、ポジションが非常に楽です。ところが、時々、視野が微妙に振動します。何が原因かといろいろと調べてみたら、天井のエアコンが振動していて、その振動が顕微鏡に伝わっているようです。

 さっそく、メーカーの技術の方に来ていただいて緩衝材をいれて頂いたら、振動が治まりました。何しろ、集中して狭い範囲をみていますので、あまり視野が動くと「顕微鏡酔い」を起こしてしまいます。顕微鏡を使っている時間が長い私には大きな問題だったのですが、解決してすっきりしました。

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