午前中はインプラントの2次オペでした。直径5mmのインプラントを下顎に2本植えたのですが、付着歯肉(歯冠部の近くにある固いしっかりした歯茎)が少なかったので、同時に歯肉弁根尖側移動術という名前もややこしいけど、手順もいささかややこしい術式を選択しました。
この術式の成功の可否は歯肉への切開線のデザインにかかっています。まずはCCD方式のデジタルレントゲンで手術時のサージカルステントとインプラントの位置を撮影します。画像は即座に画面上に出ますので、ステントのマーキングの位置とインプラントの埋入位置を把握します。浸潤麻酔をしておいてステントとペリオプローブで歯肉にマーキングをしたら、もう一度よく歯肉の状態を見て切開線を頭の中に思い描きます。あとは一次手術の時の術中に撮った写真も参考になります。
一度、決めたら切開線ができるだけ直線になるように思い切り良く、しかも浅すぎず深すぎず、メスの刃先が歯肉のどこを進んでいるかを頭の中で考えながら切開します。私は距離が正確に把握しやすいので、舌側から頬側に向かう縦切開から始める事が多いです。メスの刃先にわずかにインプラントのカバーキャップの固さと骨膜の手応えの違いを感じる事が出来ます。移動距離が大きい時は減張切開のためにやや頬側への切開線を長く取りますが、切開線を延ばすのはカバーキャップを目視してからが良いと思います。今日のオペの場合、フィクスチャーが5mmですから移動距離も大きくなります。もちろん、頤孔の位置の確認を怠ってはいけません。
次にやや舌側寄りに歯槽頂切開を入れます。この時も切開線の真下にインプラントのカバーキャップの端が来るように考えて切開します。少し外れてカバーキャップの上を切開してしまうと付着歯肉が無駄になりますし、舌側よりにずれるとデッドスペースが出来て後の治癒が悪くなります。これもメスの刃先に神経を集中して思いっきり良く、しかも繊細に切開を入れるように心がけます。チタンのカバーキャップと骨の間に存在するわずかな溝の手応えがあります。L字型に切開線を入れた処でシャネリックのマイクロエレベーターでそっと角を剥離してみます。正方形に内接する円のように切開線の内側にカバーキャップが見えれば成功です。そのまま歯槽頂の切開線を延ばして遠心側のインプラントのカバーキャップの縁ぎりぎりを切開します。
ここで少し歯肉を剥離すると遠心側のインプラントのカバーキャップが見えてきますので、インプラントの直径の縦切開を入れます。インプラントの直径分だけ剥離すると長方形の剥離部に内接して2つのインプラントのカバーキャップを確認します。ここで、ちょっと難易度が高いのですが、歯肉弁の骨膜を近遠心方向に切断して、そこから頬側よりは部分層弁で骨膜を骨に残したまま剥離します。こうすると縫合した時に歯肉弁の固定が簡単になります。
ここまで準備したらテンポラリージンジャイバルカフ(カルシテックはテンポラリーアバットメントの事をこう呼びます)を連結してペリオテストでPT値を測定します。両方ともPT-5ですので良好のようです。あとはマイクロスコープを見ながら7-0の縫合糸で縫合します。書くとまたすごく長くなるのですが、これも考慮しクリアすべき点がたくさんあります。
こう書くとすごく時間がかかるようですが、切開や剥離をしている時間はインプラント2本で10分もかかってないと思います。5分ぐらいかもしれません。ただ、切開線を決めるのにはそれ以上の時間がかかっていますし、実はマイクロスコープを見ながら縫合するのには30分以上かかります。でもトータルだと1時間ぐらいの処置です。後半の縫合をする頃には患者さんはちょっと、うとうとされていました。
長々と書きましたが、処置中にはそんなに思い出しながら考えてやっている訳ではありません。ある程度は手が自然に動く感じです。ただ、こうやって書き出してみると、無意識のうちにいろいろな事を「意識して」処置している事に気がつきます。
外科処置はなんだか楽器の演奏に似ていると思います。最初のうちはガチガチに力が入って、繊細な指の動きが出来ないのですが、練習を繰り返すとうまく「脱力」できて、しっかり弦を押さえながら早いパッセージも弾けるようになります。
それに実は私、集中力を要求される繊細な処置というのは結構好きなんです。私は本質的に歯科医師という仕事が大好きなので集中して仕事をする事はぜんぜん苦になりません。ただ、終わったあとは10分ぐらい院長室でクタっとして、お茶を飲んで、届いたメールに返事を書いたりしてます。緊張がとけてちょっとリフレッシュしているこの時間も好きな時間です。
真剣なまなざしで実習するI先生とA先生です。
もともとの歯の色が濃く、黄ばんだように見えます。さらに、歯の表面や裏側にステイン(汚れ)がついていて表面が茶色く変色しています。
PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)で表面の汚れを落とした後、ホームブリーチングを行いました。オフィスブリーチングに比べ、ホームブリーチングは時間はかかりますが透明感のある自然な白さが得られやすいように思います。
奥歯に金属の詰め物がしてあります。金属の縁が欠けたりして虫歯になっていました。人と接する職業の患者さんでしたので、特に金属の色が気になってうまく笑えませんでした。
金属の詰め物を順番にすべて除去し、虫歯の治療をおこなってセラミックインレーで治療を行いました。普通に大きく口を開けて笑っても金属の色は全く見えません。自然な笑顔が戻りました。
医院の新年会で天一に行って天麩羅を食べてきました。スタッフの人数が多くなるとそれぞれの好みがあって、皆が好きな食べ物というのは難しいのですが、天麩羅が嫌いなスタッフはいません。カウンターに並んで、お揃いの天一のエプロンをかけてもらって食べました。
治療前の状態です。20年以上前に前歯4本をメタルボンド冠で治療してあります。おそらく、当時としては最高の材料と技術で丁寧に作った冠だと思いますが、長い年月を経て冠の縁が欠けてしまったり、周囲の歯の変色で周囲の歯と色が合わなくなってしまいました。
メタルボンド冠を外してオールセラミック冠で修復しました。変色していた周囲の歯は漂白(ブリーチング)をしています。漂白した歯の色に合わせて4本の前歯を作り直しました。セラミックは生体への為害作用が少ないので周囲の天然歯と比べても自然な感じが得られています。
まず、歯ブラシをあてる正しい毛先の角度は歯茎に対して45度です。小さく円を描くように歯の外側を磨きます。必ず歯茎のラインより下に毛先が当たっていることを確認して下さい。歯の内側(舌や口蓋の側)を磨く事はそれほど重要ではありません。人間とちがって犬や猫では内側に歯石が付くことはあまりありません。
